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メディア掲載

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株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2024年6月号に当事務所のお客様である、片桐株式会社様がご紹介されました。

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キャッシュフロー重視の経営で新規事業への積極投資が可能に

衣料品を運ぶ際に入れるプラスチック製袋の製造販売を手掛ける片桐。2019年にM&Aで大和グラビヤ(愛知県名古屋市)傘下に入り、経営体制を刷新した。松岡和成社長と翠健治顧問税理士に、『FX2』による業績管理の実際や新規事業への取り組みなどについて聞いた。

──事業概要をご説明ください。

松岡 今年で創業47年になる当社は、長年衣類製品を包む透明のプラスチック製の袋などアパレル向け包装材料の生産販売を手掛けてきました。東南アジアなど海外の生産拠点向けへの輸出もかなりあり、カーテンやふとん、枕、マットレスなどの寝具を入れる袋も取り扱っています。衣類を中心にした繊維関係が売上高の約70%を占めています。

──繊維関連以外の販売製品について教えてください。

松岡 パッキンなどの水栓用部品やネジ、ボルトなどを入れる小さな袋も手掛けています。販売前のカーマットを保管する袋、機械の保護カバーなどを含め工業関連が売り上げの約1割を占めています。残りの2割は学校教材向け商品、プラスチック封筒、手術用汚物入れ、健康食品用の袋等などで、小ロット短納期への対応力、袋だけでなく商品を封入しセット販売まで手掛ける柔軟な対応力などが強みになっています。

──2019年にM&Aを行い、再スタートを切りました。

松岡 名古屋に本社を置く大和グラビヤ株式会社が、地元の金融機関の紹介を受け会社を譲り受けました。健康上の不安を抱えていた創業者の片桐元社長がM&Aによる事業承継を模索し、なかでも同社に熱心に話をもちかけたのがきっかけです。同社は食品や化粧品のパッケージが主力で、販売先の異なる片桐とはシナジーが見込めると判断し事業を引き継ぐ決定を下しました。私はもともと大和グラビヤの専務を務めており、片桐ではM&A後の2人目のトップとして21年に社長に就任しました。

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主力製品は衣類を入れる袋

主力製品は衣類を入れる袋

社長

松岡和成社長

片桐株式会社
業種 包装資材の製造販売
設立 1977年6月
所在地 岐阜県瑞穂市牛牧1627-5
売上高 約4億円
従業員数 15名

環境整備とレイアウト変更で生産性が大幅に向上

──就任時に感じたことは?

松岡 社会的にプラスチック製の包装には厳しい目線が注がれているうえ、片桐の主な取引先であるアパレル産業も低迷しており、先行きは難しいと感じていました。
しかし当社の社員と会ってみて、大丈夫だと直感しました。ただ長くカリスマ創業者のトップダウンによる経営に慣れてしまっている社風に課題があると感じ、個々の対話などを通じまずは社員1人ひとりが自由にアイデアを出せる雰囲気づくりに努めました。

――翠健治経営会計事務所とのご関係は?

翠(みす)健治顧問税理士 片桐元社長と友人関係にあった父が顧問契約を結んでからかれこれ30年以上のお付き合いになります。『FX2』の導入と毎月の月次巡回監査によるTKCの自計化を通じ、片桐元社長が数値管理を緻密に行ってきた結果、売上高は約3億円、経常利益は2000万円程度と堅調な業績を継続してきました。月次決算の報告の場に幹部社員も同席するなど全社的に数字についての意識が高く、経営の無駄を徹底的に排除されていたのが印象的でした。
無借金経営で関与先企業のなかでも指折りの優良企業でした。

松岡 慎重な経営を心掛けるあまり必要な投資がなされなかったきらいがあったので、私は社内の環境整備や生産性向上のための設備投資にお金を使うことにしました。トイレのリニューアル、使用頻度の低い機械の処分、製品保管用の棚などの新設。また乱雑に入り組んだ工場内を生産ライン、出荷スペース、倉庫ゾーンと明確に分けられた機能的なレイアウトに変更し動線の無駄をなくしました。設備が減ったので30%程度だった内製率は15%と半減しましたが、その分生産性は大幅に向上しました。

──営業の効率も改善したとか。

松岡 それまでは受注から発注、納品まですべて1人で行う体制でした。つまり営業社員が担当する取引先に関する大半の業務を属人的に行い、「営業」のみならず「作業」まで幅広く行っていたのです。私は、そうした作業的な業務を誰もができるように整理し、パート社員や営業サポート社員が担当するように変更しました。営業部員全体で情報共有できており、今では取引先からの問い合わせにも迅速なレスポンスができ、顧客満足度の向上にもつながっています。

翠健治顧問税理士

翠健治顧問税理士

「資金繰り実績表」で流動比率を常にチェック

――『FX2』による業務効率の改善などについて教えてください。

 松岡社長の数字に対する感覚は鋭いので、頭の中で把握されている売り上げおよび利益の水準と、月次巡回監査で報告する数字はほぼ一致します。また、支払管理機能の活用による定時払い、銀行信販データ受信機能の活用、販売管理システムとの連動などを通じて業務効率の改善を図っています。

松岡 貸借対照表や損益計算書の把握も重要ですが、やはり最も肝心なのは直接キャッシュフローの把握ですね。当社は加工会社に原材料を支給しているので、月によって外注費と仕入れ費用のバランスにばらつきが出ることがあります。したがって「資金繰り実績表」でキャッシュフローの額や流動比率をタイムリーに確認できるのは非常に便利だと感じています。

「MILI Flower」のハンドクリーム(税別2980円)

「MILI Flower」のハンドクリーム(税別2980円)

千代菊フェイスマスク(5枚入り税別1980円)

千代菊フェイスマスク(5枚入り税別1980円)

──限界利益率を重視されているとお聞きしています。

松岡 規格品を販売する仕事と新規に受注した仕事では当然限界利益率は異なりますし、原材料価格の上昇も利益を圧迫します。ところが当社では毎年限界利益率は30%超を確保しています。当社の営業社員に、1件ごとの仕事で必要な限界利益を確保することが体にしみついているからだと思います。

──業績も好調に推移しています。

松岡 ゴルフウェア向け包装袋が伸びたのに加え、社会の変化に素早く対応した提案型の営業活動に時間を振り分けることが可能になりました。
 その一つの事例が、生分解性プラスチック等を採用した環境配慮型のパッケージ商品の提案活動の強化です。SDGsに対応した包装資材を求めるユーザーの要望に合致し3億円程度だった売上高も今期は4億円を突破しました。一方で従業員満足度も大きく向上しています。月平均残業時間は1時間未満。年間休日数127日、有給休暇の消化率は7割を超えるようになりました。同時に賃上げもしっかり行っており、ここ3年間では年収ベースで2~3割の賃金アップを実現しました。

──新規事業への取り組みも活発化されています。

松岡 岐阜県羽島市の酒造メーカー・千代菊と協業し「千代菊フェイスマスク」の販売を始めました。美容に良いといわれている日本酒成分を配合したフェイスマスクと、当社のパッケージのノウハウを組み合わせて開発した製品です。

BtoCのビジネスははじめての経験ですが、企画、商品デザイン、OEMメーカーとの交渉、広告宣伝などをすべて当社の社員が手掛けました。昨年10月から「ベルコープ」のブランド名でECサイトを通じ販売しています。
 さらに今年4月には、ライフスタイルブランド「MILI Flower」を立ち上げました。第1弾としてハンドクリームと、カーディガンをECサイトで販売しています。化粧品に詳しい女性社員がゼロから立ち上げたブランドで、コンセプトづくりから商品のつくりこみ、京都の著名インフルエンサーを起用した宣伝方法の採用等すべて彼女を中心に進めました。社員たちが生き生きと積極的に働く姿を非常に頼もしく感じています。